カテゴリー: コラム

婚外子家庭に対する税制上の措置とは?

 いわゆる寡婦(寡夫)控除のことですが、現在公表されている平成31年度税制改正要望の中でも特に注目されている項目です。

 現行の寡婦(寡夫)控除は、婚姻歴のない未婚のひとり親世帯には適用されていないため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する税制上の対応が検討事項とされていました。
 そこで、未婚の場合にも寡婦(寡夫)控除を適用すること等により、未婚のひとり親家庭の生活の安定と自立の 促進を図ることを目的として、所得税において寡婦(寡夫)控除が適用される者や、住民税が非課税となる者に、未婚の母(父)を加えることを求めたものです。

 そもそも寡婦(寡夫)控除は、当初は戦争未亡人が家に残された扶養親族等を抱えながら所得を稼得する際に通常の場合に比べ追加的費用を要することを考慮して創設された所得控除でありますが、その後、社会的要請という観点から制度が見直されており、現在では、死別の母子家庭のみならず、離婚による母子家庭の場合も対象とするように改善され、母子家庭への経済的支援について大きな役割を果たしています。
 未婚のひとり親は、現在、この寡婦(寡夫)控除等の対象となっていませんが、子育て・家事と就業を一人で担わなければならないため、経済的に厳しい状況に置かれています。
 こうした状況を受けて地方自治体のなかには、独自に寡婦(寡夫)控除のみなし適用として保育料などを割り引くところも増えてきたようですが、税制面でも適用を認めるべきとの要望が各方面から上がっていたようです。
 そもそも寡婦か寡夫で所得控除の適用が相違しており歪んだ税制であったとはいえ、「婚姻に基づく結婚の崩壊」や「内縁の夫(妻)の存在による実質経済優遇」などの慎重論も強いようです。

東京一極集中の是正への対応?

 以前から議論されてきたスーパーメガリージョン構想検討会は、中間とりまとめに向けた構成案の議論に入りました。
 ところで、皆様は
ーパーメガリージョン構想をご存知でしょうか? 首都圏・中京圏・関西圏が一体となった超巨大都市圏をスーパーメガリージョンと規定しており、リニア中央新幹線の開業を機に誕生するものと期待されています。
 わが国では、政治・行政の中枢機能にとどま らず、大学・企業・人口などさまざまな側面に おいて首都圏への集中が見られます。
 企業については、大企業の半数以上が 首都圏に本社機能を有しており、日 本の総人口の約3分の1が首都圏に集中しているそうです。これにより、税収面においても首都圏と地方で乖離が見られます。
 わが国の総人 口のうち、東京都民が占める割合が10.2%であ るのに対し、地方税収の15.8%、法人事業税および法人住民税に限れば、25.3%が 東京都に集中しているそうです。
 このような東京への一極集中は従前の国土政 策でも課題と認識されてきましたが、是正には至りませんでした。しかし、国全体の人口が減少してい るなかで、地方より出生率の低い東京への一極 集中がさらに進めば、その減少のスピードが一 層加速するだけでなく、国内市場の急激な縮小 により競争力が低下するなど、わが国の経済基 盤への影響が懸念されています。
 わが国は今年も様々な自然災害により多くのダメージを受けましたが、災害地である地方での救助活動にも税金が使われていることも現実的な問題として受け止めたうえでも、スーパーメガリージョンからは今後とも目が離せません。

 

太陽光発電の定期報告と罰則は?

 太陽光発電の事業をされている方々には、太陽光発電設備に係る定期報告という義務があることをご存知でしたか?
 しかも、当該定期報告の提出は、固定価格買取制度(FIT制度)の認定基準として義務付けられており、2018年8月10日までに提出しなければなりませんでした。
 ※既に提出期限を経過しています!!!

 定期報告の提出義務は以前から存在していたようですが、以前までは提出をしなくても罰則などがなかったこともあり、太陽光発電の事業者の間でも当該義務の存在は全く知られていなかったそうです。
 しかし、今後は提出期限までに提出のない場合には、指導の対象となるほか、FIT制度の認定取り消しの対象となる可能性があるとのことです。
 FIT制度の認定を受けた事業者は経済産業大臣に対して、①設置費用報告(発電設備の設置に要した費用の報告)、②運転費用報告(認定発電設備の年間の運転に要した費用の報告)、③増設費用報告が必要となりますので、該当事業者の方は、認定取り消しとならいように改めて理解を深める必要がございます。
 各報告の提出時期などは以下の通りです。

①設置費用報告・・・住宅用太陽光発電を含め、認定を受けたすべての再生エネルギー発電事業者が対象です。発電設備が運転開始した日から1ヶ月以内に提出しなければなりません。

②運転費用報告・・・住宅用太陽光発電以外の認定を受けたすべての再生エネルギー発電事業者が対象です。発電設備が運転開始した月の翌月末までに毎年1回提出しなければなりません。

③増設費用報告・・・認定を受けたすべての再生エネルギー発電事業者が対象です。増加した出力で運転再開した日から1ヶ月以内に提出(ただし増設した結果、10kw以上にならない場合は不要)しなければなりません。

 定期報告は、インターネット(FITポータルサイト)から、以下のサイトでログインIDとパスワードを入力すれば、電子報告を提出できますので、お早めに実施してください。

https://www.fit-portal.go.jp/

 

カジノ法案にマイナンバーが?

 カジノ法案が、先日の20日参議院本会議で可決成立されました。
このカジノ法案はIR(統合型リゾート)法案などとも言われていますが、正式名称は『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律』というそうです。
 名称のとおり、統合型リゾート施設としてカジノの他にも公共性の高いホテルや映画館・ショッピングモール
など幅広い用途に使われることを目的としています。
 カジノ法案は、2020年の東京五輪後の成長戦略の柱に掲げられており、早ければ2023年に国内初の合法カジノが開業する見通しとのことですが、皆様もご存じのとおり、本来カジノは刑法で禁じられていますが、特例的にカジノを合法化することで、インバウンドの増加・地域雇用の促進・インフラ整備が整うことが期待されています。
 実質は、関税対抗措置もとらない安倍総理のトランプ大統領へのご機嫌取りにすぎないとか・・・。

 ただし、ギャンブル依存症への懸念も根強いため、カジノへ入場するためにはマイナンバーカードの提示と入場料を6,000円徴収・入場回数を週3回かつ月10回などと制限しています。(事業者側は、カジノ事業は3年ごとに更新する免許制とし、カジノに係る収益の30%を国と地元自治体に税金として納めなければなりません)。

 では、カジノをして儲けた者に係る税金はどうなるのでしょうか?
 おそらくは一時所得として申告するか、継続的収支をはっきりエビデンスとして残せるのなら雑所得して申告することができるかもしれませんが、なにせマインナンバーカードを提示しなければカジノへ入場することもできないため、マイナンバーで管理されている以上、申告は免れられないと思われます(申告することが当然なのですが)。
  出国税とあわせて税収をどのくらい確保できるのか興味はつきませんが。

CRD評点とは?

 『CRD』とは、Credit Risk Databaseの略で、中小企業信用リスク経営情報データベースのことです。

 中小企業の経営者の多くの方が信用保証協会を利用されたことがあることだと思います。この保証協会の保証付き融資を申し込むと、申し込まれた企業の決算書などを財務分析することで、倒産リスクに応じて9段階に区分された保証料率のうちいずれかが適用されます。
 
保証協会は倒産リスクを合理的に判断するために、審査対象企業を点数で評価します。この判断基準とされているのがCRD評点です。

 言い換えると、このCRD評点が高くなるような決算書があれば、銀行融資はスムーズになると言えます。我々税理士は節税対策に力を注ぐことで少しでも納税(キャッシュアウトフロー)を防いであげたいと思っていますが、時には納税額が若干増えてでも銀行融資(キャッシュインフロー)のために力を注ぐことも重要です。

 事業承継で自社株式の評価額を下げたい企業、将来の勇退時に投資資産である生命保険を積み立てて退職金を準備しておきたい企業、その事業に係る許可更新のために流動比率などを重視する企業・・・その時点やその業種によって求められる決算書は違います。
 もちろん決算書を自由に変えることはできませんが、大切なことは中長期事業計画をたてて常に対応できる財産形成に尽力することです。

 資金の新規融資が必要な業種の企業は、CRD評点を上げるために自己資本を潤沢にしていきましょう!!

配偶者の居住権とは?

 『配偶者居住権』という権利が新たに創設されようとしています。
これは住宅に係る権利を『所有権』と『居住権』に分けるもので、相続等の際に配偶者が居住権を選択すれば、所有権が別の相続人や第三者に渡っても亡くなるまで住み続けられるというものです。
 また居住権の評価額は、配偶者の余命年数などから算出されるとのことで、高齢になるほどその評価額は低くなり、所有権より少ない額で相続税を計算することで、配偶者は遺産分割のために自宅を換価する必要がなくなります。
 ただし、この居住権は必ずしもいいことばかりではなさそうです。
 『所有権』というのは、その住宅を使用収益する権利もありますし、自由に譲渡することもできますが、『居住権』はただ住むだけの権利だからです。
 高齢者である配偶者が相続がおきた後も雨風をしのいで寝食することだけを考慮すれば、配偶者の生活は守られることになりますが、現実問題として介護等が必要な状況であれば介護施設などで生活することを前提に考えて少しでも多くの現金を所有しておく必要があります。
 子と同居できるのか、数年後に同居するのか、今まで通り1人で暮らすのか・・・いずれにしても先々のことをよく考えて、居住権と所有権のどちらを選ぶのか親族としっかり相談して決める必要があります。
 ちなみに、当該法改正は法律婚を対象としており、事実婚は対象外となっています。これらも踏まえて今後も検討を進めていく必要がありますね。

不動産売買から目が離せない?

 不動産ビジネスが大きく変わろうとしています。それは民法改正により2020年4月から不動産の賃貸借や売買に関する考え方が変更されるためです。
 改正による変更点は次の通りです。

1.賃貸借

 ・敷金・原状回復のルールが明確化
 ・連帯保証人の極度額を設定
 
2.売買
 ・瑕疵担保責任から契約不適合責任へ変更

 今回の改正は買主に対してより手厚い保護を与えたような印象をうけます。これにより売主はより慎重な対応が求められることになるのですが、当該改正はそもそも外国人投資家の参入も視野に入れてのことで、旧民法の「瑕疵担保責任」という考え方は日本人独特のもので外国人には馴染みのないものであり、日本の不動産に投資する際のデメリットにもなっていたそうです。
 これを当該改正で「契約不適合責任」へと改め、責任を負う範囲を契約で明確にすることで外国人投資家でも安心して日本の不動産に投資することができると期待されています
 しかし、
既に中国人投資家の間では東京近郊を中心に不動産の売却に転じているようです。日本の税制では不動産の譲渡に係る税率を所有期間が5年を超えるかどうかで判定するため、2012年頃から始まったとされる中国人による不動産の爆買いから5年が経過したため今後も続々と増えていくと予想されています。
 今回の民法改正の施行時期は東京オリンピックと重なります。来年には消費税率の増税も予定されているため2020年までに不動産の売買を検討している方は目が離せない問題です。

税制改正で所得税が上がるのか?

 平成30年度税制改正大綱の発表がされ、あっという間に3か月が経過してしまいました。そのうち我々の生活に最も身近な個人所得税においては、給与所得控除、公的年金控除、基礎控除などの見直しがおこなわれました。なおこれらの改正は平成32年分以後から適用される見込みです。

①給与所得控除

 給与所得控除は、控除額が一律10万円引き下げられ、給与収入が162.5万円以下で55万円となり、また給与収入が850万円で上限額は195万となります。

②公的年金控除

 公的年金控除は、控除額が一律10万円引き下げられ、公的年金等の収入が1000万円を超える場合の控除額の上限は195.5万円です。年金等以外の合計所得が1000万円超の場合には、公的年金控除が10万円引下げられ、2000万円超の場合は20万円引下げられます。

③基礎控除

 基礎控除は一律10万円引き上げられますが、合計所得が2400万円を超える場合には段階的に引き下げられ、合計所得が2500万円を超える場合には0となります。

要するに、給与収入850万円超の方や合計所得2400万円超の高額所得者の税負担が多くなるということです。

必ず会社の社長とは話し合っていることですが、法人の役員報酬シミュレーション必至です💦

裁量労働制の拡大はいいこと?

「働き方改革」の残業規制をめぐり、労働時間の調査データに異常な数値が見つかった問題で、安倍首相は衆院予算委員会で謝罪したにもかかわらず、裁量労働制の拡大などの施行時期を遅らせるどころか今国会で成立を目指しているようです。
 裁量労働制には、専門業務型(われわれ税理士なども含まれます)と企業業務型とういうものが2つありますが、どちらも労働基準法という法律により「業務を遂行するためには労働者の裁量が必要である」という内容が明記されています。
 したがって、労働者は使用者からの業務命令に対し、労働者自身の自由な働き方で業務を遂行し、完了させればいいことになるため、当該裁量を拡大してあげようという法案は一見するとすばらしい法案に思えます・・・。

 しかし、仕事って現実はそんなに甘いもんじゃないですよね?

 早く業務を完了させれば業務命令を追加され仕事は増えるいっぽうですし、上司からの残業命令を断れた試しもありません。
 そもそも自由に働いてそんなに早く帰りたいと思わないですけど(私だけでしょうか・・・)

 過労死を無くすためにも残業規制は本当に重要な問題です。政府も使用者も真剣に対応していくにはタックスドリブンが必要かもしれませんね。

individual-type Defined Contribution pension planとは?

  iDeCo(確定拠出年金)のことです。
 2017年1月に個人型確定拠出は加入対象が大幅に拡張されることになりました。確定拠出年金法等の一部を改正する法律案が成立し、個人型の対象者が現在の国民年金第1号被保険者および第2号被保険者(会社等で年金がない場合のみ)から、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者)を含むすべての国民年金被保険者へ拡大されました。

 この確定拠出年金の最大のメリットは下記①から④のとおり、『なにせ節税』です。

①個人型確定拠出年金の掛金(上限あり)は、小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除扱いとなります。

②金融商品に係る利子や配当などの運用益は原則的には課税されますが、確定拠出年金に係る運用益は非課税にな  ります。

③一時金として受け取る場合は退職所得として、退職所得控除が適用されます。年金として受け取る場合には、公的年金等控除が適用されます。

④相続税法上はみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として法定相続人1人あたり500万円まで非課税となります。

 また、デメリットは下記の❶から❸のとおりで『あくまでも投資』だということをよく理解する必要があります。

❶60歳になるまで積み立てた運用資産を引き出せません。

❷口座開設時および運用期間中に手数料がかかります。

❸将来の年金額は確定していないため、元本割れの可能性もあります。

 当事務所では、実際の節税額をシミュレーションして分かりやすくご説明させていただきます。お気軽にご連絡ください。